【京都に来られたきっかけは?】
出身は大阪で、現在は山科区に住んでいます。結婚して夫の転勤を機に京都へ来ました。住み始めてから、もう20年以上経っています。
京都へ移住後、助産院で出産したことからお産やマタニティヨガに関わる活動に携わるようになり、最近伏見の日野にカフェをオープンしました。
ヨガ講師をしていると、大阪の皆で盛り上がる感じとは違い、京都では一人で落ち着いて参加される方が多い印象です。地域性の違いを感じますが、京都はサイズ感がとてもいい。子育てのイベントに参加してもすぐ知り合いに出会えるくらいのサイズ感が心地よく、狭いながらも活動しやすい場所だなと実感しています。



【伏見のイメージは?】
工場や企業が立ち並ぶ地域から、日野のように自然を身近に感じられるところまであり、伏見はとにかく広いですね。
伏見と聞くと、酒蔵の街並みや伏見稲荷等を思い浮かべる方も多いですが、実際に日野へ訪れてみると、想像以上に緑豊かな自然が広がっていることに驚きました。
また、人と人との繋がりが強く、あたたかさを感じられる、そんな場所です。


【どういった経緯でカフェの開業までたどり着いたのですか?】
このカフェのすぐ奥にある「やすらぎの森木村助産院」の木村さんとは20年来の付き合いになります。元々、木村さんは自宅出産が最も安全であるというポリシーをお持ちの開業助産師さんで、出張専門の自宅出産をサポートされていました。
私は、ずっと「こんなに良い場所があるのだから、日野で分娩施設を開いたら?」と木村さんに提案していました。彼女の中でも分娩施設を開業することへの想いが大きくなってきたため、ドンと背中を押しました。
一人で分娩施設を運営するということは本当に大変です。その頃まだ私は別の仕事をしていたのですが、お産以外の面、具体的にはコミュニティ作りや食事の面でサポートすることを決めました。
私自身、若い頃は病院での出産に対して漠然とした恐怖や抵抗感がありました。
ご縁があり、助産院で出産することになりましたが、それからずっと子育てを支えてくれた助産師さんに恩返しをしたい気持ちがあり、仲間たちとNPO法人Legare(レガーレ)を立ち上げ、カフェをオープンさせました。
カフェの建物は元々、隣接する高齢者デイサービス施設「同和園」が所有するコミュニティカフェでした。施設への昼食やおやつの提供を引き継ぐ形で居抜きのまま手に入れ、助産院に提供する食事のほか、子ども連れでも気軽にお越しいただけるメニューをご用意しています。
現在は、近くにあった古民家を改装中で、将来的にコミュニティスペースとして活用したいと考えています。


【ここで開いてよかったと思うことはありますか?】
カフェには、幅広い世代の方がいらっしゃいます。毎日のようにお越しいただける常連さんもいて、その方が町内会など地域と私たちの橋渡しをしてくださいました。
オープン時の「難しいことは考えずに、とりあえず続けてみな。」の一言に思わず涙しました。新しい場所で事業を始める際の不安や課題も、地域の方々の温かい支援によって乗り越えられています。


【カフェでのおすすめはありますか?】
ランチタイムには、こだわりの野菜を使ったせいろ蒸しや、伏見の酒蔵から提供していただいた酒粕をたっぷり使ったお料理をお出ししています。
食材は無農薬や無添加にこだわり、身体に良いものを使っています。子育て経験から食の大切さに気づき、自然と身体に良いものを選ぶようになりました。
味噌作り教室も開催しており、23年間手作りの味噌を使ってきた経験を共有しています。手作りの味噌は市販のものよりまろやかで、子どもたちにも好評です。


【今後こうしていきたいというのはありますか?】
子育て中は、助産師さんに何度も相談し、励ましてもらいました。子育てが一段落した今、助産師さんや地域の方々に助けられた経験を活かし、その恩返しをしたいと思っています。
まだデイサービスの食事作りで手一杯の面もありますが、カフェは、子どもとママだけでなく、世代を超えて地域の人々が交流できる場所にしたいと考えています。コミュニティを作ることで、気軽に立ち寄れる場所にしていきたいです。
また、この地域には、腹帯地蔵のある恵福寺や古くから「乳薬師」として信仰されてきた法界寺など、出産にまつわる場所が多く、私たちは「お産の里」と名付けています。ここお産の里で、いつか「お産ランド」を作っていきたいです。
ここはお産ランドのレストランで、様々な講座や教室が開かれる場所です。参加される方々がアトラクションのように楽しんで、お産を楽しめるような雰囲気が作れたらと思っています。これは、昔からの夢なんです。
うちのNPOの代表がよく、「迷ったときはハッピーを選んで。」と言うのですが、ここでは、忙しい中でもご機嫌でいられるような働き方を実現したいですね。あそこに行けば「お産楽しいで」と言っているおばちゃんがいて、そのおばちゃんがいつもハッピーそうならお産って良いものだなと思ってもらえるかもしれません。



【この地域で子育てや移住を考えている方へメッセージをお願いします】
私たちの願いは、「学区に1つ助産院があること」です。出産だけではなく、女性は人生を通して身体がどんどん変化していく。正しい性の知識だったり、妊娠・出産、子育て、更年期のことなど、色々なことを相談できるスペシャリストが助産師さんです。日野の地に助産院と母親に優しい場所を作ることで、若い世代や子どもたちが増え、楽しい場所になったらいいなと考えています。つい便利な場所ばかりに目が向きがちですが、地域で子育てを支えることの大切さを伝えていきたいです。
ぜひ日野、お産の里に来て、お産を楽しんでいただけたらと思います。妊娠を考えている人、助産院で産みたい人も歓迎します。お産は怖い、辛いというイメージではなく、楽しく気負わずに、でもお任せではなく覚悟を持って、自分で選んで納得いくように産んでほしいです。納得して出産すれば、産後の子育てのスタートが全く違ったものになるのではないでしょうか。

